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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは?

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の内壁が胃酸や消化酵素によって損傷されることで生じる潰瘍です。これらの潰瘍は「消化性潰瘍」と呼ばれる消化器疾患の一つです。胃酸やペプシン(消化酵素)が粘膜を傷つけることで、炎症や痛みが引き起こされるため、適切な治療が必要です。

症状

症状胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主な症状は、上腹部の痛みです。
特に食後1~2時間後に痛みが強くなることが多いですが、十二指腸潰瘍の場合、空腹時に痛みが増し、食事を摂ると痛みが軽減することがあります。この痛みは、しばしば鈍痛や灼熱感として感じられます。また、胸焼けが頻繁に起こり、胃酸が逆流することで不快感を覚えることがあります。

悪心や嘔吐も一般的な症状で、胃内容物の逆流や消化不良に伴って発生します。これにより食欲不振になることもあります。
また、症状が進行することで潰瘍が出血を引き起こすと、便が黒くなることがあります。
これらの症状が持続する場合や、急激な痛みや出血が見られる場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。

原因

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の主な原因には、以下のものがあります。

ヘリコバクター・ピロリ感染

ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)という細菌が胃や十二指腸の粘膜に感染することで、炎症や潰瘍を引き起こします。H. pylori感染は、特に十二指腸潰瘍の主要な原因とされています。

ピロリ菌

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用

アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDsは、胃や十二指腸の粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑制し、潰瘍を引き起こすことがあります。

喫煙

喫煙は胃酸の分泌を増加させ、胃粘膜の防御機構を弱めることで潰瘍のリスクを高めます。

過度のアルコール摂取

アルコールは胃粘膜を刺激し、潰瘍のリスクを増加させます。

ストレス

過度のストレスは胃酸の分泌を増加させることがあり、潰瘍の原因となることがあります。

遺伝的要因

家族に潰瘍の既往がある場合、リスクが高くなることがあります。

診断と検査

診断と検査胃潰瘍と十二指腸潰瘍の診断には、主に胃カメラ検査が用いられます。この検査は、鼻もしくは口から細いカメラ(内視鏡)を挿入して食道、胃、十二指腸を直接観察する方法です。
胃カメラ検査は、潰瘍の有無や程度を正確に確認できるため、非常に優れた診断方法です。リアルタイムで詳細な画像を提供し、潰瘍の位置や大きさ、出血の有無を正確に把握できます。また、内視鏡を使用して組織を採取(生検)し、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の有無や炎症の程度を詳しく調べることができ、治療方針の決定に役立ちます。

当院では、内視鏡専門医や指導医が丁寧に検査を行っておりますので、安心して受診してください。検査は患者様の負担を最小限に抑えるよう配慮し、正確な診断と適切な治療を提供いたします。

胃カメラ検査

治療

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療方針は、潰瘍が良性か悪性かによって異なります。ここでは、良性の潰瘍に対する治療について説明します。

良性潰瘍の治療

薬物療法

良性の潰瘍に対する治療の主な方法は薬物療法です。プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーが使用され、これらは胃酸の分泌を抑制して潰瘍の治癒を促進します。PPIの例として、オメプラゾールやランソプラゾールがあります。また、H2ブロッカーの例として、ファモチジンやラニチジンがあります。

ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の除菌治療

H. pyloriが原因である場合、除菌治療が必要です。この治療には、PPIと抗生物質(クラリスロマイシンやアモキシシリン)の組み合わせが使用されます。除菌治療に成功することで、再発のリスクを大幅に減少させることができます。

ライフスタイルの改善

薬物療法に加えて、ライフスタイルの改善も潰瘍治療において重要です。特に消化器の蠕動運動機能と自律神経の関係を理解し、生活習慣を見直すことが推奨されます。

消化器の蠕動運動は自律神経によって制御されており、交感神経と副交感神経のバランスが乱れると消化機能が低下し、潰瘍の治癒が遅れることがあります。ストレスは自律神経のバランスを乱す要因の一つであり、ストレス管理が非常に重要です。
食事に関しては、辛いものや酸味の強い食べ物、アルコールの摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけることが必要です。規則正しい食事時間を守ることも大切です。
喫煙は潰瘍の治癒を遅らせるため、禁煙することで潰瘍の治癒を促進し、再発を防ぐ効果があります。
さらに、ストレスを減少させるために適度な運動を取り入れることで、自律神経のバランスが整い、消化器の機能が改善されます。ライフスタイルの改善により、潰瘍の治癒を促進し、再発のリスクを減少させることが期待できます。

手術療法

薬物療法が効果を示さない場合や、潰瘍が進行して出血や消化管穿孔を引き起こした場合には、手術療法が必要となることがあります。その際には、手術が必要と判断された場合、専門の提携している医療機関を紹介し、適切な治療が受けられるようサポートいたします。

潰瘍の治療は、早期の診断と適切な治療によって多くの場合、良好な結果が得られます。もし、胸焼けや腹痛などの症状でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

おわりに

消化性潰瘍の治療は、早期の診断と適切な治療によって多くの場合、良好な結果が得られます。当クリニックでは、熟練の内視鏡医が行う苦痛の少ない胃カメラ検査を提供しております。消化器病専門の医師が丁寧に対応し、適切な治療を行います。もし、胸焼けや腹痛などの症状でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

胃カメラ検査