便潜血検査陽性について
便潜血検査とは、便の中に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。通常、目に見えない微量の血液も検出できるため、早期の消化管疾患の発見に役立ちます。大腸がん検診や健康診断で広く行われているスクリーニング検査になります。検査が陽性であれば、便の中に血液が含まれている可能性が高いことを示していますが、その血液の原因が何であるかまでは特定できません。便潜血陽性の原因には、痔や消化管の炎症、大腸ポリープ、大腸癌などがあります。便潜血陽性の場合は、放置せずに、追加の検査を受けることが非常に重要です。確定診断には精密検査が必要であり、当院では精度が高く、安全で安心して検査を受けていただける内視鏡検査を推奨しています。
便潜血検査陽性で大腸カメラ検査の必要性
便潜血検査で陽性と判断された場合、その原因を特定し、適切な治療を行うために大腸カメラ検査が必要となることが一般的です。大腸カメラ検査は、肛門から内視鏡と呼ばれる細長い管を挿入し、大腸の粘膜を直接観察する検査です。この検査を行うことで、大腸内にあるポリープや腫瘍(早期の大腸癌や前がん病変、良性の腫瘍)、炎症などを詳細に確認でき、必要に応じてその場で組織を採取したり、ポリープを切除したりすることも可能です。大腸癌は早期発見が非常に重要であり、便潜血検査で陽性と判断された際には、可能な限り速やかに大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。
便潜血陽性でわかること
便潜血検査は、大腸癌の早期発見に非常に有効なスクリーニング方法として広く利用されています。便潜血検査には1回法と2回法があり、2回法の方が精度が高いとされています。具体的には、1回法の検査で大腸癌を発見できる確率は約60%、2回法では約90%とされています。便潜血検査で陽性となった場合、大腸癌の診断率は約5~10%、前がん病変が見つかる可能性は約20~30%と報告されています。
ただし、進行した大腸癌であっても、便潜血検査で陰性となる可能性があります。このため、便潜血検査が陰性だからといって完全に安心できるわけではなく、特に症状がある場合やリスクが高いと考えられる方は、精密検査として内視鏡検査が推奨されます。
大腸癌は早期に発見されれば、内視鏡的に切除することで完治することが多く、仮に手術が必要になった場合でも、高い確率で根治が期待できる病気です。便潜血検査の目的は、大腸癌による死亡リスクを減らすことにあります。そのため、陽性結果が出た際には、早めに大腸カメラ検査を受けることが非常に重要です。
便潜血陽性で要精密検査となった方はお気軽にご相談ください
当クリニックでは、熟練の内視鏡医が行う苦痛の少ない大腸カメラ検査を提供しております。消化器病専門の医師が丁寧に対応し、適切な治療を行います。些細な症状でも、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本消化器病学会 大腸がんガイドライン
- European Guidelines for Quality Assurance in Colorectal Cancer Screening and Diagnosis (2010)
- Systematic Reviews and Meta-Analyses
"Sensitivity of fecal occult blood test for colorectal cancer: a systematic review and meta-analysis." (Cole et al., 2003) - American Cancer Society Guidelines