TOPへ

潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎とは潰瘍性大腸炎は、主に大腸に炎症を起こす炎症性腸疾患(IBD)の一つで厚生労働省から定められている指定難病の一つです。炎症は直腸から始まり、大腸全体に広がることがあります。この病気は症状の再発と寛解(症状が落ち着いている状態)を繰り返すのが特徴であり、原因は未だに不明で、根治治療は確立されていません。治療は専門的な医療機関に定期的に通院することをおすすめします。

原因

潰瘍性大腸炎の正確な原因は解明されていませんが、免疫反応の異常、腸内細菌叢の乱れや遺伝的要因が関与していると考えられています。また、ストレスや食生活が疾患を悪化させる要因となることもありますが、それ自体が直接の原因ではありません。

症状

主な症状は、腹痛下痢(時には血便を伴う)です。症状の程度は人によって異なり、排便回数が少し多い程度の軽症のものから腹痛、下血を伴う重症のものまであります。その他の症状には、発熱、体重減少、疲労感が含まれます。症状が慢性的に続くため、患者の日常生活に大きな影響を与えることがあります。気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診し、大腸カメラ検査などの検査で原因疾患を特定していく必要があります。

検査・診断

潰瘍性大腸炎の診断には、いくつかの検査が必要です。大腸カメラ検査では、腸内を直接観察し、炎症や潰瘍の広がりを確認します。また、組織検査で腸の組織を採取し、病理学的に調べることも行います。さらに、血液検査で炎症の度合いや貧血の有無を確認し、便検査では感染症の有無を除外するために行われます。

重症度分類

潰瘍性大腸炎の重症度分類は、治療方針や難病医療費助成制度の適用判定に重要です。
重症度は、以下の6つの項目を基に判断されます:排便回数、顕血便(血便の有無)、発熱、頻脈、貧血、および赤沈(赤血球沈降速度)。
これらの項目に基づいて、症状の軽重に応じて「軽症」「中等症」「重症」に分類され、重症で症状が特に激しい場合は「劇症」と診断されることもあります。
軽症では、排便回数が1日4回以下で、顕血便がほとんどない、またはわずかに認められます。
発熱、頻脈、貧血、赤沈の数値も正常範囲内に収まります。
一方で、重症は排便回数が1日6回以上で、顕血便のほとんどが血液を含む場合に該当します。加えて、発熱や頻脈の症状が見られ、これらの項目のうち4項目以上に異常が認められる場合、重症と判定されます。
重症度を参考にして、適切な治療方針を決定します。

治療

潰瘍性大腸炎の治療は、腸管の炎症を抑え、可能な限り症状が落ち着いている状態を維持することを目指します。治療には、アミノサリチル酸製剤(5-ASA)やステロイドが用いられ、炎症を抑える効果があります。病状が重い場合には、免疫調節薬や生物学的製剤が使用され、免疫反応を抑えることで症状の改善が期待されます。また、薬物療法で効果が見られない場合や合併症がある場合、内科的治療が奏功せずに症状が急激に悪化する場合には、入院加療や外科手術が検討されます。潰瘍性大腸炎は専門性の高い医療機関での治療が必要な疾患です、症状などでお悩みの方は当院までご相談ください。

クローン病とは?

クローン病とはクローン病は、消化管全体に炎症が発生する炎症性腸疾患で厚生労働省から定められている指定難病の一つです。口から肛門までのどこにでも炎症が起こる可能性があります。この病気も再発と寛解を繰り返し、長期的に患者の生活に影響を与えます。炎症を起こしている箇所によって、小腸型、大腸型、小腸・大腸型と分類されます。肛門疾患を合併することが多いのもクローン病の特徴になります。

原因

クローン病の原因も潰瘍性大腸炎と同様に正確な原因は解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的要因が関係していると考えられています。さらに、喫煙が発症リスクを高める要因であることも知られています。

症状

クローン病の症状は、腹痛や下痢、体重減少、発熱などです。潰瘍性大腸炎と異なり、クローン病では瘻孔(ろうこう)と呼ばれる筒状の細い孔が近接する臓器に形成されることがあります。この瘻孔は、腸と腸、または腸と他の臓器をつなぐ異常な経路で、感染や膿瘍の原因となります。気になる症状がある方は大腸カメラ検査を早めに受けることをおすすめします。

検査・診断

クローン病の診断には、内視鏡検査やバリウム造影検査が用いられます。内視鏡検査では、腸内を直接観察して炎症の範囲や深さを確認します。また、バリウム造影検査では、小腸の形状や病変をX線で確認します。潰瘍性大腸炎と同様に、血液検査や便検査も併用して行われます。

治療

クローン病の治療は、炎症を抑え、合併症を予防することを目指します。潰瘍性大腸炎と同じく、アミノサリチル酸製剤やステロイドが使用されますが、クローン病では特に免疫調節薬や生物学的製剤の使用が多く、免疫反応を制御することで症状の緩和を図ります。また、瘻孔や狭窄が重篤な場合には、外科手術が必要になることがあります。内科的治療、外科的治療の種類は増えてきているものの、病気そのものを根治する治療は未だに確立していません。症状を落ち着かせて可能な限り寛解状態が長く続くように、定期的に外来通院することが重要になります。

おわりに

潰瘍性大腸炎とクローン病は、どちらも長期的な治療が必要な炎症性腸疾患であり、早期診断と適切な治療が重要です。当クリニックでは、消化器病専門の医師が丁寧に対応し、適切な治療を行います。これらの病気は生活の質に大きな影響を与えるため、気になる症状がある場合は、些細な症状でも、どうぞお気軽にご相談ください。