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大腸憩室

大腸憩室症とは?

大腸憩室症大腸憩室症とは、大腸の壁が外側に向かって膨らんだ袋状の構造を作る「憩室」ができる状態を指します。憩室そのものは無症状であることが多く、健康診断大腸カメラ検査などで偶然に発見されることもあります。大腸のどの部位に憩室ができるかで左側型、右側型、両側型に分類されます。日本では右側型が多かったのですが、左側型、両側型も増えてきています。

憩室があるだけで病気ではありませんが、まれに炎症や感染を伴って症状を引き起こすことがあります。これを「憩室炎」と呼び、腹痛や下血などの症状を認めることがあります。症状がある場合、適切な治療が必要になります。

症状

症状大腸憩室そのものは通常無症状で、憩室炎を起こすまで気づかないことが多いです。しかし、憩室炎を起こすと腹痛、発熱、血便便秘または下痢を認めることがあります。
症状が軽度であれば自然に回復することもありますが、憩室炎が重症化すると、腸管に孔が空いて穿孔を起こし、腹膜炎を引き起こすことがあるため、早期の診断と治療が重要です。

原因

大腸憩室の主な原因は、大腸内の圧力が高まることによります。これは、便秘などによって腸内に溜まった便が大腸を押し広げ、弱い部分が外側に膨らむことから発生します。具体的な原因として、以下の要因が挙げられます。

食物繊維の不足

食物繊維が少ない食事を摂ると、便が硬くなり腸の圧力が上がりやすくなります。これが憩室形成の大きなリスク要因です。

加齢

年齢を重ねるにつれて、大腸の筋肉が弱まり、憩室ができやすくなります。

便秘

長期にわたる便秘は、腸にかかる圧力を増加させ、大腸憩室の原因となります。

遺伝的要因

家族に憩室症の患者がいる場合、自身も発症するリスクが高くなるとされています。

検査

大腸憩室症の診断には、いくつかの検査が必要です。憩室が無症状の場合、健康診断で偶然発見されることもありますが、症状がある場合は早期の検査が重要です。

大腸内視鏡検査

最も確実な診断方法です。内視鏡を使って大腸内部を直接観察し、憩室の有無を確認します。炎症がある場合は、炎症の状態が緩和したタイミングで検査を行います。内視鏡検査は、憩室炎の診断だけでなく、大腸癌やポリープの有無を確認するのにも有用です。

大腸カメラ検査

CT検査

憩室炎が疑われる場合には、CT検査が有効です。CTスキャンを使うことで、憩室の正確な位置や炎症の範囲を確認でき、腸閉塞や腹膜炎などの合併症も早期に発見できます。

血液検査

憩室炎が発生している場合、血液中の炎症反応が高まるため、白血球数やC反応性蛋白(CRP)などを測定して炎症の程度を把握します。

治療

大腸憩室症の治療は、症状の有無や重症度によって異なります。無症状の憩室の場合、特別な治療は必要ありませんが、経過中に憩室炎や憩室出血を予防するために、食生活の改善や定期的な経過観察が推奨されます。

無症状の場合

無症状の憩室症に対しては、特別な治療は必要ありませんが、食生活の見直しが予防のために重要です。食物繊維を豊富に含む食事を心がけ、便秘を防ぐことで、憩室が悪化するリスクを減らすことができます。水分を十分に摂取し、規則正しい排便習慣を維持することも大切です。

憩室炎の場合

憩室炎を発症した場合、まずは炎症を抑える治療が行われます。軽症の場合は、抗生物質の投与や食事制限で回復が期待できますが、重症化した場合や合併症を伴う場合には入院が必要です。

憩室出血の場合

大腸憩室からの出血は、特に高齢者に多く見られ、突然の大量出血を引き起こすことがあります。通常は自然に止血することが多いですが、出血が止まらない場合や貧血を引き起こす場合は、迅速な対応が必要です。

軽度の出血

軽度の出血の場合、自然に止血することがほとんどですが、内視鏡検査で出血部位を確認し、必要に応じて止血処置を行います。

重度の出血

大量出血が続く場合や出血が止まらない場合は、内視鏡による止血処置が行われます。内視鏡で出血源を確認し、クリップなどで止血が可能です。また、止血が難しい場合や出血が繰り返す場合には、手術が検討されることがあります。

憩室出血後は、再発を防ぐためにも、定期的な経過観察が重要です。また、生活習慣の見直しや食物繊維の摂取が予防につながることがあります。

おわりに

大腸憩室症は、生活習慣の見直しによって症状の予防や悪化を防ぐことができます。当クリニックでは、熟練の内視鏡医が行う苦痛の少ない大腸カメラ検査を提供しております。消化器病専門の医師が丁寧に対応し、適切な治療を行います。大腸憩室症の症状でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。