血便とは?
血便とは、便に血液が混じる状態のことを指します。血液が混ざることで、便が赤や黒っぽくなることがあり、その色や量によって原因となる病変の場所や状態が推測されます。一般的に、鮮やかな赤い血が便に混じっている場合、肛門や直腸、大腸など比較的肛門に近い部分で出血していることが考えられます。一方、便が黒っぽくタール状の場合、消化管の上部、例えば胃や小腸で出血が起きている可能性が高いです。このように、血便は幅広い消化器系の疾患や肛門疾患のサインであり、血便を認めたら早めに医療機関での診察を受けることが大切です。
原因
血便の原因は多岐にわたり、以下のようなさまざまな消化器系疾患が考えられます。
内痔核、外痔核(いぼ痔)
最も一般的な血便の原因です。肛門付近の静脈が腫れて出血し、便に鮮やかな赤い血が付着することがあります。痛みを伴うこともあれば、無症状のこともあります。
裂肛(きれ痔)
肛門の皮膚が切れて出血する状態です。便秘などで硬い便が通過する際に肛門が傷つくことが原因です。鮮血が少量付着し、排便時に痛みを感じることが特徴です。
大腸ポリープ、大腸がん
大腸ポリープは放置すると一部のポリープは大腸がんへと進展するリスクがあります。ポリープは通常無症状ですが、大きくなると出血を引き起こし、血便の原因となることがあります。特に、腺腫と呼ばれるタイプのポリープは大腸がんへと進行する可能性が高いため、早期発見と治療が必要です。
大腸がんは日本において非常に罹患率の高いがんの一つで、特に初期段階では無症状のことが多いため、血便が現れた時には既に進行している場合も少なくありません。大腸がんのリスクは年齢とともに増加し、特に40歳以上の方や大腸がんの家族歴がある方は注意が必要です。
潰瘍性大腸炎
大腸の内壁に潰瘍ができる炎症性腸疾患で、下痢や血便を繰り返すことがあります。長期的に管理が必要で、悪化すると大腸がんのリスクが高まることもあります。
クローン病
小腸や大腸など消化管全体に炎症が起こる疾患です。血便のほか、腹痛や体重減少、下痢が続くことが特徴です。
感染性腸炎
細菌やウイルスが原因で腸に感染し、下痢や血便を引き起こすことがあります。食中毒が原因で起こることも多く、症状が激しい場合は医師の診断が必要です。
虚血性大腸炎
大腸への血流が一時的に減少することで発症し、血便や腹痛が起こります。特に高齢者や動脈硬化がある人に多い疾患です。
消化性潰瘍
胃や十二指腸に潰瘍ができ、そこから出血することで黒っぽい便(タール便)が現れることがあります。慢性的な痛みを伴うことが多く、進行すると大量出血に至ることもあるため、治療が必要です。
検査
血便がある場合、その原因を特定するためにいくつかの検査が行われます。
問診
血便の色、量、便の形状、過去の病歴、家族歴などを確認します。これにより、出血の部位や原因の目星をつけることができます。
直腸診
肛門や直腸に異常があるかを確認するために、直腸を触診する簡単な検査です。肛門鏡を用いて直腸粘膜の状態も観察します。痔核や裂肛が原因の場合、この検査で判断できることがあります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)
最も効果的な検査の一つです。内視鏡を肛門から挿入し、大腸全体を観察します。ポリープやがん、炎症の有無を確認し、必要であればその場で組織を採取し病理検査を行います。また、ポリープが発見された場合は、その場で切除することも可能です。血便がある場合は、特に大腸がんや炎症性腸疾患の可能性を除外するために、内視鏡検査が推奨されます。
その他に追加で行う可能性のある検査
- 血液検査:出血量が多い場合や、貧血の症状がある場合、血液検査を行って全身の状態を評価します。
- 腹部エコー、CTやMRI:場合によっては腹部超音波検査(エコー検査)、CT、MRIなどの画像診断を行い、消化管以外の部位に異常がないか確認することもあります。
治療
血便の治療は、その原因によって異なります。まずは診断を確定するために大腸カメラ検査をおすすめします。
痔核や裂肛
軽症の場合は、生活習慣の改善や軟膏などの外用薬で治療します。便秘や下痢が原因の場合、それらを改善することで症状が軽減します。重症の場合は、手術が検討されることもあります。
大腸ポリープ
大腸内視鏡検査中にポリープが発見された場合、その場で切除することができます。ポリープが大きい場合や、悪性の可能性がある場合は手術が必要です。
大腸がん
早期の大腸がんであれば、内視鏡による切除が可能です。進行している場合は、外科手術や放射線療法、化学療法が行われます。大腸がんは早期発見・治療が最も効果的です。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
炎症性腸疾患は、食事療法や薬物療法でコントロールすることが目標です。症状が激しい場合は、ステロイドや免疫抑制剤などの強力な薬物療法が必要となることがあります。
感染性腸炎
細菌やウイルスが原因の場合は、抗生物質や抗ウイルス薬で治療します。軽症の場合は、自然に治癒することもありますが、症状が続く場合は医師の診断が必要です。
虚血性大腸炎
軽症の場合は、自然に回復することが多いですが、症状が重い場合は入院が必要となることがあります。
血便や下血でお困りの方は当院までご相談ください。
血便でお悩みの方はお気軽にご相談ください
血便でお悩みの方は、当クリニックにご相談ください。当クリニックでは、熟練の内視鏡医が行う苦痛の少ない大腸カメラ検査を提供しております。消化器病専門の医師が丁寧に対応し、適切な治療を行います。些細な症状でも、どうぞお気軽にご相談ください。